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海上自衛隊 敷設艦むろとの仕事とは?

 海中で隠密行動を展開し、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載している潜水艦は、四方を海に囲まれた日本にとって大きな脅威だ。われわれの目につかない海面下では、国内外の潜水艦の間で駆け引きが繰り広げられている。

海底にケーブルや観測機器などを設置する海上自衛隊敷設艦むろと、は対潜水艦戦を有利に進めるためのデータ収集に努める支援艦。それだけに任務の機密性は非常に高く、海自関係者も思わず言葉に詰まるほどだ。

 潜水艦が活動する際は、音波が大きな役割を果たす海中では電波がすぐに減衰して使い物にならないため、代わりに音波が通信や、真っ暗な海中での索敵などに用いられている

ただ、音波が海中を伝わる距離は一定ではない水圧や水温、塩分濃度などによって異なり、それらは水深や潮流といった海中の環境に左右される潜水艦の乗組員によると、冷え切った海中では音が非常にはっきりと聞こえ、逆に温かい海中では音によどみや曇りが生じるという。

 むろとの任務の1つは、そうした海中の状況を観測する装置の設置や観測データを送信するための海底ケーブルの敷設だ観測データの蓄積により、その時々の状況に応じた音波の伝わる距離を把握しやすくなる。

音波が伝わる距離は敵潜水艦を探知したり逆に探知されることを防ぐために重要な情報だ。加えてむろとは、海自が必要とする海域で、海底に固定型のソナー(水中音波探知機)を設置することもある。

 これらの任務は秘匿性を重視する潜水艦の運用に直結する。そのため、むろとの詳しい活動内容が表に出ることは少なく、海自内でも“マイナー”な存在にとどまってきた。海自関係者は「『敷設艦』と言っても、ただ単にケーブルを敷設するだけの船ではない」と話す。

 現在のむろとは2代目で平成25年3月に就役し、呉基地を拠点としている。

毎年、米海軍の協力を得て、米領グアム島沖の海上で敷設などの訓練を行うのが恒例

艦の大きさは

明治38年5月の日本海海戦連合艦隊の旗艦を務めた戦艦「三笠」とほぼ同じ艦名は高知県東部の室戸岬が由来

 海底ケーブルは船尾から敷設するが、予定ルートに沿って敷設し続けるためには精密な操艦が求められるそのため、むろとにはスクリューを水平方向に360度回転させられる「アジマス・スラスター」や、船体を横方向に移動させることができる。「バウ・スラスター」などを備え、先代のむろとに比べて運動性能は大幅に向上した。その上で可能な限り商船の仕様を、採用し建造費を約284億円に抑えている。

これに対して平成24年4月に退役した先代のむろとは船首からも海底ケーブルを敷設でき「ウイスカー・ガード」と呼ばれる格子状の構造物が特徴的だった。ウイスカーとは「髭ひげ」の意味

髭を剃ってスマートになった2代目むろとは、就役から間もなく丸4年。潜水艦どうしが繰り広げる海面下の“戦い”を支援する重要な役割を今日も人知れず果たしている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%80%E3%82%8D%E3%81%A8_(%E6%95%B7%E8%A8%AD%E8%89%A6%E3%83%BB2%E4%BB%A3)

ARC-483 むろと

基準排水量

4,500t

主機械

ディーゼル4基2軸

速 力

18kt

特殊装置

埋設装置一式

馬 力

8,800PS

乗 員

約110名

主要寸法

133x17,4x8,6x5,7m(長さ、幅、深さ、喫水)